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相馬野馬追ツアー体験記

先日開催された「相馬野馬追ツアー 」の参加者の声が寄せられました。FRCの活動についてご覧ください。


相馬野馬追ツアー 7月28日(金)~30日(日) 


本多 充輝(ホンダ・ミッキー)大阪府枚方市


2011年東日本大震災の後、福島県いわき市や南相馬市でボランティアに参加していた私にとって、この地を再訪するのは格別の思い入れがありました。また2021年2月の福島県沖地震で被災された相馬中村神社復興のクラウドファンディングに微力ながら募金させていただいた縁もあり、このツアーは告知と同時に申し込みました。

メイン行事の甲冑競馬や神旗争奪戦はもちろん楽しみでしたが、祭の当事者である北郷の菅野長八(かんの・ちょうはち)様のご自宅の訪問や馬装・人装の現場に立ち会えるのはFRC代表の田中様のご人脈あってのことで、この貴重な体験こそが今回のツアーの最も魅力的な点であったことは言うまでもありません。 7月28日(金)各地から参集したメンバー9人は仙台駅に集合し、遠く大分から来られたココペリウェスタンライディングの宮本様の運転で南相馬へ快適なドライブ。菅野様ご自宅の周囲の青々とした水田に新築の家が点在する風景は、確実な復興と人々の安寧な暮らしが感じられ嬉しく思いました。

ご自宅に所狭しと並べられた甲冑・装具の間をぬって準備に活気づく菅野家ゆかりの皆様からは、この祭の当事者としての誇りと喜びが感じられ、こちらも興奮してしまいました。 沢山の貴重な甲冑を拝見し、吉兆や武運の象徴である甲の前立ては非常に興味深いものでしたが、兎の前立ては初めてでした。調べると、大きな耳で素早く情報を集め、走るのも速く、そして、後ろ向きには走れない動物で、また、月の神様(戦いの神様)のお使いという信仰もあったようです。長八様の干支が兎、さらに今年は年男ということで本当にぴったりの前立てだと思いました。

室内に並ぶ見事な甲冑

兎の前立てが付いた長八様の兜

7月29日(土)祭り1日目。今年菅野家からは5人馬が出陣しました。当主の長八様(功労者)、長八様の弟の茂雄さん(先頭軍者)、茂雄さんの息子の雄平(ゆうへい)さんと将喜(まさき)さん、そして友人のNHKプロデューサー大門志光(おおかどしこう)さん。早朝5時半から馬装の現場を見学することが出来ました。朝陽を浴びて艶々と光る馬が、てきぱきと伝統的な馬具や尾袋で飾られていく様は、神々しい光景で、祭への期待が掻き立てられました。


早朝から馬装をする菅野茂雄さん

菅野家ではすでに甲冑を装着した雄平さん、将喜さんの凛々しい雄姿があり、玄関先に掲げられた旗指物は想像より大きく、本当にこれを背に指して馬を操るのかと驚きました。


菅野雄平さん(右)、将喜さん(左)

副大将海老原氏の邸宅、永田陣屋での副大将出陣式では、まるで時代劇のロケを見ているような感覚を覚えました。お役目と氏名の書かれた布を左肩にまとった武者たちが、次々と副大将へご挨拶、朗々とした声のやり取りは役になりきった俳優のように感じました。


副大将に謁見する北郷功労者たち

法螺貝の音色が出陣の意気込みを演出し、副大将が乗馬して一堂がご出陣、北郷本陣へ向かいます。菅野家からの5騎も堂々と出陣されました。こういう場面はFRCの田中様と菅野様のご縁あってこそ拝見できたもので値千金です。

副大将邸出陣式。法螺の音が響く

菅野長八功労者出陣

その後、北郷本陣で総大将を迎えての出陣式、北郷だけの神旗争奪戦と貴重な行事を拝見し、翌日のハイライトに向けてどんどん期待が高まりました。


総大将北郷本陣到着

北郷ミニ神旗争奪戦  写真:田中郁衣

宿の晴風荘(せいふうそう)は風光明媚な松川浦の海岸沿いにある日本旅館で、オーシャンビューの眺望と食べきれないくらいのご馳走の数々に大満足。特にウナギや海苔のお味噌汁が大好評でした。

大満足の晴風荘での食事。浴衣姿が筆者。

翌30日(日)はいよいよ三社五郷*(注)合同の本祭り。約400騎による騎馬御行列から始まる雲雀ヶ原の勇壮な甲冑競馬や神旗争奪戦に圧倒されました。

丘の上の総大将に勝ち名乗りをあげるため坂を駆けあがる人馬に、惜しみない拍手や家族親族友人たちからの賞賛の声かけがあり、この祭がどれほど地元の人々に愛され、生きる活力となっているのか肌で感じられました。

甲冑競馬

 神旗争奪戦 撮影:熊谷正

*注 相馬野馬追は相馬中村神社、相馬太田神社、相馬小高神社の3妙見神社の合同例祭であり、5つの郷(ごう)と呼ばれる地区の騎馬会によって構成されている菅野家は北郷に所属する。

· 宇多郷(うだごう):相馬市

· 北郷(きたごう):南相馬市鹿島区

· 中郷(なかごう):南相馬市原町区

· 小高郷(おだかごう):南相馬市小高区

· 標葉郷(しねはごう):浪江町、大熊町、双葉町


しかし、想像以上の暑さには参りました。鼻の穴を広げて肩で息をする馬もたくさん見ました。10年前この地でがれき撤去などをしましたが、浜通りは海風がとおり涼しい印象でしたが、気候が全く変わっていました。来年からの日程変更が検討されるニュースをきき、本当に良かったと思います。


ご当地の人々にはかりしれないほど愛されている祭だからこそ、今後の持続は必須であり、そのためには人馬の犠牲はあってはならないことです。


FRCのイベントに参加するのはこれが2回目ですが、前回の大分のココペリさん同様「想像のはるか上をいく」すばらしく濃密な3日間でした。


最後に私たち一行を受けいれてくださった北郷の菅野長八様・茂雄様はじめゆかりの方々、長距離を運転して私たちに快適な移動を提供させてくださったココペリの宮本様ご夫妻、楽しい三日間をシェアしあえたお仲間の皆様、そしてご縁をつないでくださった田中様に心より感謝いたします。本当にありがとうございました。

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