~馬の美を求めて~ 大島豊寛 59歳 埼玉県川口市 不動産賃貸業
今回ツアーに参加した理由は、馬場馬術をやっている者として、世界最高レベルの競技会と、2年前に乗馬雑誌に出ていたエリザベス女王を警護する「美しき王室騎馬隊」ホースガーズの交代式を見たかったからだ。 12月16日夜ロンドン着。翌日から3日間、半日は自由に観光し、半日はオリンピアを見に行った。
オリンピアホースショーのホースガーズ。華麗なカドリールを演じた
2日目、12月17日 ナショナルギャラリーに行った。美術鑑賞が私の趣味だ。今回一番見たかった絵があるのだが、他の美術館に貸し出し中で見られず残念だった。その絵はジョージ・スタッブスの等身大の馬の肖像画“Whistlejacket”(1762年制作、カンヴァスに油彩、縦292㎝、横246㎝)。ツアー仲間がポストカードを買って慰めてくれたが、いつか本物を見たいと思っている。 ナショナルギャラリーは「傑作ばかりを一気に鑑賞できる美術館」として有名だが、時間の制約もあり今回は1700~1900年代の印象派を中心に、1600~1700年代のバロック絵画の巨匠、ルーベンス、ベラスケス、レンブラントなどの作品を堪能した。
等身大の馬の肖像画“Whistlejacket”
見たかった絵はポストカードで
オリンピアの馬場馬術競技は2日目のキュア(音楽に合わせた自由演技)を見た。Charlotte DujardinやCarl Hesterを生で見られたことは、馬場馬術をやっている者として感激であった。馬が音楽にぴったり合って演じている瞬間はまさに眼福の極みだった。しかも馬自ら、その動きを望んでいるかのように見えたのは驚きであり、優秀な馬場馬たちの見せる歩様の美しさは忘れがたいものだった。 カメラの無い時代に「動きそのもの」を探求した印象派の画家ドガの気持がわかるような気がした。
Charlotte Dujardin のキュアの演技
3日目、12月18日 車椅子の塚本真由美さん(FRCマネージャー)を押しながらホースガーズ交代式を見た。塚本さんは旅行前の落馬で腰を痛めていた。
ホースガーズの入り口で
バッキンガム宮殿を出発した騎馬隊は、雨上がりの通りを直進し、セントジェームズ・パークの角で右折して、交代式が行われる広場に入っていった。行列が右折した時、フォービート(4拍子)の蹄の音がひときわ大きく、心地よく響き、思わず歩度を伸ばした伸長常歩で並走してしまった!!わずか30mくらいだったが、黒馬の常歩に同調できて気持ちが良かった。交代式は約1時間にわたってゆっくり行われたが、先導した騎馬警官の真横で、イギリスの子供たちと共に見ていた。黒馬たちは堂々として、誇らしげであった。
交代式に向かうホースガーズの行進。先導する騎馬警官につづき、白馬のラッパ手と黒馬に乗った騎兵たち
交代式の後は、16、17世紀に英国王室の宮殿として使われたホワイトホール宮殿の中で、唯一火事による焼失を免れた「バンケティングハウス」を見学した。
ルーベンスによる大天井画を、ソファーに寝そべって、オーディオガイドによる日本語解説をイヤホンで聞きながら貸し切り状態で鑑賞できたが、時間が足りなくて残念だった。
バンケティングハウス。ソファーに寝そべってルーベンスの大天井画を鑑賞した。
4日目、12月19日 自分と馬仲間へのお土産をたくさん買った。ホースガーズの本やビデオなどだが、最近出版された「VALEGROヴァレグロ~オリンピック金メダルホースの軌跡~」(Carl Hester著)の日本語版が、日本の半額で買えたのは驚きだった。 展示ブースで日本人の馬の肖像画家、長瀬智之氏と偶然再会できたことも嬉しかった。2008年に所属の乗馬クラブで彼の個展があり、それ以来のファンである。 「厳しい審査に通り、7年ぶりのオリンピア出展」とのことだった。 今後はニューマーケットに拠点を構え、活動したいとのこと、健闘を祈ります。 彼が描く黒馬が「本物を見てみたい」と思わせてくれたのかもしれない・・・ 最後に、車椅子の参加者とツアー同行するという、本当に得難い経験ができたことに感謝しています。 人間万事塞翁が馬
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