北海道エンデュランス入門合宿体験談 2025
- FRC フリーダム・ライディング・クラブ
- 6月9日
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更新日:3 日前
先日開催された「北海道エンデュランス入門合宿 」の参加者の声が寄せられました。FRCの活動についてご覧ください。 2025年5月9日~11日 馬上遁世 静岡県 60代
「私の通ったところを同じように来てください。そうしないと流されますよ」。WWRC代表の片山彰さんの先導で然別川(しかりべつがわ)を横断、足元の下流側は深く少しでも踏み外すと馬共々急流に流されそうです。北海道エンデュランス入門合宿は緊張感あふれる外乗から始まりました。
広大な蕎麦畑と牧草地の中、満開のエゾヤマザクラや白樺並木の下を走りぬけた私達は山の方へと向かいました。アラブ種純血スタリオンのアマールは慣れた道と言わんばかりに横木や薮の間を順調に走りぬけます。途中鹿と遭遇、片山さん曰く「鹿でよかったね」。なるほど、ここはヒグマが出没する土地なのです。片山さん自身も猟をやっていて昨年は体調2mを超えるヒグマを仕留めています。
二日目は雨となり気温も前日より10度以上低い寒い日となりました。午前中は市の施設ウリマクホールの会議室にて田中さんと片山さんによるエンデュランスについての講義です。田中雅文さんは、世界最高峰のTevis Cup(米カリフォルニア)の完走者で、片山さんは日本初のエンデュランス大会の優勝者です。馬の解剖からエンデュランスの歴史や参加資格、レース途中に設けられるクルーポイントでの騎乗者や馬のサポートを行うクルーイングの方法や、レース途中でのホースインスペクションの獣医検査項目など二人の武勇伝を交えながら講義がありました。
乗り手はフラフラになっても失権にはならないが馬の状態が悪いと即失権となる馬中心の競技、馬の状態を維持するためのクルーイングが重要な役目を担っているということです。
午後はWWRCに戻り冷たい雨の降る中、屋外のテントで昼食。温かい手作りの美味しい鹿シチューは完成するまで長時間煮るという手の込んだもので冷えきった体を芯から温めてくれました。圧巻だったのが片山さん自ら焼いていただいた十割蕎麦粉のガレットです。堅強な体つきからは想像できない繊細な焼き方と味付けには驚きました。最初気難しく頑固なイメージだった片山さんですがエンデュランス界だけでなく鹿追町の重鎮であるとは思えないほど話がとても面白く、笑ったり感心したり、共感できるところがいっぱいでたちまちファンになりました。この夜は居酒屋でも乗馬あるある話を肴に盛り上がったのは言うまでもありません。
ここ鹿追町はNHK連続テレビ小説「なつぞら」で、ヒロインの幼馴染みとして登場する山田天陽(吉沢亮)のモデルとなった神田日勝が生涯を遂げたところで、日勝の作品を多く展示した神田日勝記念美術館があります。日勝は馬を素材とした多くの作品を描いていて馬好きの方にはたまらない美術館です。ここ以外にも食品スーパー創業者福原治平氏の長年にわたるコレクションを一般公開した福原記念美術館があります。スーパーの親父が集めた物かと高を括っていましたが田中彰の彫刻、寺島龍一、神田日勝、平山郁夫、片岡球子、中川一政の絵画や与謝野晶子の直筆の手紙など、日本を代表するアーティストの素晴らしい作品が展示されているのは意外で驚きました。
最終日はいよいよ実際のエンデュランスコースを使った実習になります。実際のレースと同じようにエントリーの書類を提出し、ゼッケンをつけ片山彰審判長のブリーフィングの後3人一組でスタート、周りの景色を見る余裕もなく、馬の給水を終えクルーポイントへ、ここで通常のクルーイングを受け再スタート。途中コースを間違えそうになりながらも無事ゴール。聴診器を使い心拍測定、腸音診査、引き馬にて歩様検査のやり方などを実習し、片山審判長から完走の判定を頂き終了となりました。
この合宿でエンデュランスがどういうものか実際に体験することで身近に感じることができました。また多くの動画と写真を撮っていただき感謝しています。晩酌をしながら夫婦で動画を見ては北海道の思い出話に花が咲いております。「ねえ、僕って結構うまくなってない?」「いい馬に乗せてもらっているからうまく見えるのよ、そんなことも分からないの?」


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