チャグチャグ馬コ見学ツアーレポート 2025
- FRC フリーダム・ライディング・クラブ
- 8月7日
- 読了時間: 4分
更新日:8月7日
先日開催された「チャグチャグ馬コ見学ツアー」の参加者の声が寄せられました。FRCの活動についてご覧ください。
岩手、馬と歩む旅:チャグチャグ馬コと悠久の小岩井農場
本多充輝 大阪府枚方市

幼い頃、「雨降りお月さん」という童謡の「しゃらしゃらしゃんしゃん鈴付けたお馬」というフレーズに、私は心を奪われました。いつか、あの歌に出てくるような鈴をつけた馬をこの目で見たい。そんな幼い夢を抱き続け、幾星霜。そして2025年6月、ついにその夢が叶う日が来たのです。馬をこよなく愛する仲間たちと共に、私たちは岩手へと旅立ちました。目的は、岩手の初夏を彩る伝統行事「チャグチャグ馬コ」への参加、そして馬と自然に触れる二日間の旅です。
6月14日:鈴の音響く、チャグチャグ馬コとの14キロ
6月14日、私たちは早朝からチャグチャグ馬コの出発地点である滝沢市の鬼越蒼前神社へと向かいました。この祭りは、旧暦の端午の節句に、農作業で疲れた馬の無病息災を祈願するために始まったとされています。江戸中期には、愛馬を美しく飾り立てて神社に参詣する文化が生まれ、それが現在のチャグチャグ馬コの原型となったそうです。
色鮮やかな装束を身にまとった馬たちが次々と集まってくる光景は、まさに圧巻の一言。装束には大小約700個もの鈴が取り付けられており、その総重量はなんと60キログラムにも及ぶとのこと。馬たちが歩くたびに「チャグチャグ」と響く鈴の音は、この祭りの名前の由来にもなっています。
私たちは、この日、チャグチャグ馬コと共に14キロの道のりを歩くという貴重な体験をしました。馬の背には、色とりどりの装束をまとった可愛らしい子供たちが乗っています。彼らの無邪気な笑顔と、馬たちの堂々とした姿が、沿道に詰めかけた観客を魅了していました。
驚いたのは、地域の市町村の役員の方々も馬に乗って参加されていることでした。この祭りが、地域全体で大切にされ、誇りに思われていることがひしひしと伝わってきます。馬と人が一体となり、地域ぐるみで伝統を守り、次世代へと繋いでいく。その光景は、私にとって忘れられない感動となりました。
チャグチャグ馬コに参加する馬たちは、主にブルトン種やペルシュロン種といった「重種」と呼ばれる大型の馬です。体重が1トンにもなる馬もいるそうで、その力強さと優雅さには目を見張るものがあります。彼らが、この祭りの主役として、人々と共に歩む姿は、まさに岩手の愛馬精神の象徴と言えるでしょう。

6月15日:馬との再会とうまっこパーク、そして自然と共生する小岩井農場
翌15日、私たちはレンタカーを借りて、まずは「うまっこパークいわて」へと向かいました。ここでは、チャグチャグ馬コに出場した馬たちと再会することができました。昨日、14キロもの道のりを共に歩いた馬たちが、のんびりと草を食む姿は、なんとも愛らしいものです。うまっこパークでは、チャグチャグ馬コに出ているような重量種の馬たちを間近で見ることができ、その迫力に改めて圧倒されました。
彼らは、かつて農耕馬として活躍したブルトン種やペルシュロン種といった品種で、その穏やかな性格と力強い体躯は、まさに岩手の自然と共生してきた証です。
午後は、広大な敷地を誇る「小岩井農場」を訪れました。小岩井農場は、1891年(明治24年)に、日本鉄道会社副社長の小野義眞、三菱社社長の岩崎彌之助、鉄道庁長官の井上勝の三氏の頭文字を取って名付けられました。
何もない荒地を開墾し、近代的な農業を目指して設立されたこの農場は、130年以上の歴史を持ち、日本の農業近代化に大きく貢献してきました。私たちはトラクターに乗って農場内を巡るツアーに参加し、広大な森林が農場の生態系とどのように関わっているのか、その大切さを学びました。自然との共生を重視する小岩井農場の取り組みは、私たちに多くの示唆を与えてくれました。
ツアーの後は、お待ちかねのグルメタイムです。小岩井農場といえば、やはり新鮮な牛乳やソフトクリーム。濃厚な牛乳の風味と、なめらかな口どけのソフトクリームは、旅の疲れを癒してくれる最高の味でした。焼きたてのピザも絶品で、自然の中で味わう食事は格別です。また、牛舎を見学する機会もあり、牛たちがのびのびと過ごす様子を見ることができました。小岩井農場は、ただの観光地ではなく、農業と自然、そして人々の暮らしが密接に結びついた、生きた博物館のような場所でした。
この二日間の岩手の旅は、私にとって忘れられないものとなりました。幼い頃からの夢だった「鈴をつけた馬」との出会い、そして馬と人が共に生きる地域の文化に触れることができ、心から感動しました。馬好きの仲間たちと分かち合ったこの経験は、きっと私たちの心に深く刻まれることでしょう。岩手の豊かな自然と、そこに息づく人々の温かさに触れ、私は改めて旅の素晴らしさを実感しました。この二日間の岩手の旅は、私にとって忘れられないものとなりました。

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