オリンピアホースショー観戦ツアー 2019

 

「Jean-François Pignonに恋い焦がれて」
  塚本真由美 FRCマネージャー

 またしてもロンドン・オリンピア・ホースショーツアーへの参加を断念せざるを得ないのか?
 2年前は、約2週間前に落馬、右上腕骨幹部骨折で、12月初に手術をした為、泣く泣くツアー参加を断念した。
 今年は2日前に腰から落馬。しばらく痛みで動けず、しかしながら何とか歩けたので、骨折はしていないと思ったが、念の為病院へ。内臓損傷の懸念もあった為、CTとレントゲン。土曜日で救急の担当医は消化器内科の医師。5年程前の第十二胸椎の骨折に着目し、同じ場所を痛めたかもしれないとのこと。湿布と痛み止めを処方され、週明けにはかかりつけの整形外科に行くよう紹介状を出され安静にするようにとの指示を受けた。
 ツアーは12月16日の月曜日朝出発。痛みが強かった為、参加を迷ったが、今回は、Jean-François Pignon(ジャン-フランソワ・ピニョン)の新作‘BLACK and WHITE’のショーが予定されており、どうしても観たかった私は、ありとあらゆるサポートを調べ参加することを決断。自宅近くの駅でバスに乗った後は羽田空港到着から全行程、車椅子を利用することにした。

 数年前、田中雅文さん(FRC代表)と一緒に‘Flying Frenchman’と呼ばれるLorenzoのDVDを観た。
 このDVDは、ショーではなく、ショーに出る馬とのトレーニング風景で、Lorenzoの故郷南フランス・カマルグの海岸と湿地帯が舞台だった。
 当然、最初から全ての馬が彼の言う通りに動く訳ではなく、馬が心を開くのを時間をかけて待つ。やがて彼の意のままに馬が動くようになり、馬の上に乗り、自在に走り回り、バーを飛び越えながら馬から馬に飛び移る。
 Lorenzoのショーや動画を観たことのある方なら、彼の身体能力やショーの素晴らしさはご存知だと思うが、前段階の馬との心の会話にどれだけ時間をかけているかということは案外分からないのではないかと思う。
 私は、涙が止まらなかった。この時のことが、FRCの馬たちと接する時のヒントになっている。
 そして私は、この日からLorenzoの虜になり、彼のショーを観たくて観たくて仕方なくなった。「彼に会えたら死んでもいい!」そう公言していた。

 9月初にオリンピア・ホースショーへのJean-François Pignonの出演が決まった。
 彼のことをネットで調べていくうちに、私はLorenzoからあっけらかんと浮気してPignonの虜になってしまった。

 なので、腰の痛みよりも、ツアー参加者のお荷物になることよりも、Pignonを観ることを優先したのである。

Jean-François Pignonは1968年に西フランスで生まれた。裕福ではないけれど愛に溢れた家族の中で子供時代を過ごしている。
 ジョギングやサッカーをしていたPignonは、父親が買い与えたGazelleという1歳の牝馬との出会いにより人生が変わった。彼はGazelleと共に学校に通い、多くの時間を彼女と過ごした。私の勝手な想像だが、誰に習うでもなく彼自身がGazelleと過ごすことで、自然と馬との接し方を身に付けたのではないだろうか?

 

 オリンピアでは、Pignonのショーを3回観る機会に恵まれた。
 場内のアナウンスでショーが始まることが分かり胸が高まる。まず音楽に合わせて8頭の白い馬たちが走り出て、その後ろからPignonが軽やかに登場。
 白い馬の中には、1頭のポニーが含まれているのだが、このポニーがPignonの言うことをきかずに、わざとさぼってみたり、(当然これも彼の指示)ショーを盛り上げる役割を担っている。

 Pignonの周りを馬たちが横足でぐるぐる回る!私も時折、グランドワークの最後に横足を試みて、ちょっと出来ては大騒ぎするが、これを8頭の馬がやるのである。
 続いて、黒い馬たちが走り出てくる。
 白い馬の演技中には、黒い馬が整列してそれを見守っていたり、白い馬、黒い馬がそれぞれ演技したり、演技しているかたわらで、砂浴びをしたり、寝てしまったり。
 演技の最中にPignonが細かく指示を出しているのだろうけれど、あたかも、馬たちがいつ何をやれば良いのかを分かって自ら動いているようにすら感じてしまう。しかも、馬たちも楽しそうに見えるのである。
 馬が群れの動物であること、馬たちがPignonを心から信頼しているから、こうした演技ができるのだろう。

 

 普段、エンデュランスという過酷な競技をやっている私は、馬に辛い思いをさせていることに罪悪感すら感じているし、馬上から馬の苦しそうな様子を感じ私自身が辛くなってしまう。それでも、馬は私の為に必死に走ってくれる。
 その分、乗らない時は馬がリラックスできるように接することを心掛けている。

 

 少し話が逸れてしまったが、今回のPignonと馬たちを観て、ショーの素晴らしさに感動したことはもちろんだが、Pignonと馬たちの関係と、それに至る時間の膨大さを想像し刺激を受けた。Pignon の愛にあふれた馬に対する接し方をFRCの馬たちとの接し方にも生かせたらと思った。

 

 オリンピア・ホースショーでは、Pignonの他に、馬場、障害、馬車競技、ドッグアジリティ、エリザベス女王の護衛を行うイギリス騎兵隊のパフォーマンスなどを楽しんだが、私にとってのNo.1はやはり、Pignonの‘BLACK and WHITE’だった。

 帰国後空港から、怪我をする度にお世話になっている整形外科に直行。
 レントゲンを撮ったところ、第一腰椎の破裂骨折、2ヶ月程は乗馬はお休みとの診断。
怪我の度に約1ケ月は前倒しで乗馬を再開しているので、今回もかなと思っているが、
オフシーズンでもあるので少しのんびりするのも良いかもしれない。

 

 最後になるが、ツアーの間、私の車椅子を押したり、荷物を持って下さった参加者の皆さんに感謝したい。

フリーダム・ライディング・クラブ 

Freedom Riding Club

〒222-0032 

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TEL:045-541-0467

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